山のヒヤリハット

重大な事故には至らなかったものの、直結してもおかしくない一歩手前の発見をヒヤリハットといいます。
ヒヤリハットで有名なのはハインリッヒの法則と呼ばれるもので、「重大事故の陰に29倍の軽度事故と、300倍のニアミスが存在する」という説を言います。
このハインリッヒの法則は様々なところで利用されており、製造業ではあらゆるミスが会社全体で共有されており、日々の生産活動の中において日々、発生するヒヤリハットの潰しこみをして安全性を高める活動を行っています。
もっと大きな活用例では、自治体の取り組みです。たとえば交通事故のリスク低減のために、小中学校に通う生徒のヒヤリハット体験を収集し、通学路の中での危険箇所をマッピングします。そうして事故になりそうな場所や時間を整理し対策を立てます。ミラーを付ける。信号を設置する。横断歩道をつくる。人が立って交通整理をする。街灯を設置するなどなど大事故につながらないための、事前の工夫を街づくりに活かすというものです。
ヒヤリハットは結果無事であることから、軽視され、経験の記憶から消されてしまうことが多いですが、自分のヒヤリハットから学ぶことができない人は、いつか大きなトラブルに巻き込まれる可能性が高いでしょう。
そういう意味では、自分の山登りを振り返ってみると相当なヒヤリハットを経験してきました。道迷い、滑落、転倒、悪天候、装備不足、体力過信、などなど、本当に数え切れません。登山におけるあらゆるヒヤリハットをほぼすべて経験してきたような気がします。なぜ、今まで無事だったか?一言でいえば、単に幸運だったということでしょう。
道に迷ったけど、なんとか復帰した。滑落したけど途中で停止して登り返した。転倒したけど打ちどころが良かった。すべてにおいて本当に幸運だったという以外の言葉は見当たりません。
その代わり、そのヒヤリハットの経験は少しずつ積み重ねられ、徐々に賢く、正しい準備も怠りなくできるようになり、安全な山登りが楽しめるようになってきたように思います。
きちんとした山岳会などに入っていれば、諸先輩方のヒヤリハットを共有し、よりスピーディに山の知識を吸収することもできるのでしょうが、単独で行動している登山者は、本や雑誌やネットの情報から学びを得るか、自身の成功・失敗の体験から学びを深めるのが唯一の手段になります。そういう意味では、山ブログも危ない体験や山の情報もきちんと記録し、こんなつまらないブログを見に来てくださっている人たちのお役に立つような情報の記載も必要なのかなと思います。

5日から新潟の松平山で37歳のお父さんと6歳の子供が遭難して行方不明になっています。気温が低く雨も降っている中、山中でこの親子がどう過ごしているのか?心配でとても辛いです。
捜索は40人体制であたっています。ヘリも飛んでいます。残された時間は少しずつ失われていますが、明日には元気で無事な二人が発見されてほしい。今回の辛い遭難も重大事故につながらず、ヒヤリハットの経験として笑い話とともに話せるようになってほしいと心から願っています。

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