神々の山嶺(かみがみのいただき)下巻 夢枕獏 著を読みました。
上巻を読んだのが3か月前なのでかなり間が開いてしまいました。
この小説を知ったのはつい最近のことで、映画化の話が持ち上がってから小説を手に取った形となりました。
あらすじは伏せますが、生と死の狭間で、登場人物の心の対話、葛藤などの心の動きに引き込まれ、最後は惜しみながらページをめくりました。
映画自体がなぜかあまり評判がよろしくなかったので小説はどうなんだろうと思って恐る恐る手に取りましたが、面白かった。読んでよかった。
原作が存在する作品を映画化にした場合、山岳小説の場合あまりうまくいかないケースが多いです。
どうしても登山という自然と、それに向き合う個人の心を題材すると表現が難しく、それを無理に表現しようとすると説明的になってしまいます。
岳であれ、山女日記であれ、春を背負ってであれ、この神々の山嶺であれ(まだ観てないですけど)映像化に対して残念な声が多いのは、心の描写が難しいんでしょうね。きっと。
むしろ、剣岳・点の記のように主人公の心をあえて説明せず、叙事的に淡々と映画を描き、主人公の心の持ち方を潔く、観る者の感性に委ねたほうが感情移入しやすく、面白い映画になるのではないかと感じます。
ともあれ、神々の山嶺、時間がある方は是非読んでみてください。