定本 黒部の山賊を読んで 続々

前回からの続き

まだ明るいものの、太陽は午後の日差しです。影が伸びてきています。まずいことにヘッデン、懐中電灯はありません。このまま日が暮れると・・・・
「ばあちゃん、心配してるよな~」自分の今の状況も気になりますが、家族も気になります。
まずは、滝をどうしようか?「下りる?下りない?」葛藤が続きます。音は聞こえるものの覗き込めません。下手に下ると、登ることもできず立ち往生しそうです。

そんな時です。滝の音のするはるか彼方の尾根の上に家が建っていて、人がいるのが見えたのが。「おーい」と声をかけますが動く気配がありません。家も、人も見えているので、必死に声をかけますが立っている人はこちらを見て立ち尽くしています。
しばらくして、それが錯覚だと気づきました。

徐々に薄暗くなります。
決断しました。藪に戻ろうと。とにかく西に進めば間違いなくどこかの道に出られます。リスク回避を決めました。

ここからです。究極疲れると目に入る情報が勝手に脳内で解釈されて、ないものを認知するといいますが、ないものが見えるなったのです。
ちなみに、どんなものが見えたかというと

①道の向こう側に、ソファーが置いてある。⇒近くに行くとそれが岩に変わる。
②髪の長い女の人がうなだれて立っている。⇒近くに行くとそれが木々に変わる。
③音楽を大声で鳴らしている人がいる。⇒滝の音
④大きな葉っぱが落ちていてそこに滲んだ字が書いてある。しかも、そこに書いてあることが読める!⇒実際はただの葉っぱの模様なのに、それが頭の中で文字として変換されている。

トランスジャパンアルプスレースに出場されていた選手が、寝不足と究極の疲労で、錯覚(幻覚ではない)を起こすようになり見えないものが見える状況になるというのを見ましたが、この時の自分も疲れすぎて錯覚を起こしていました。
もう本当に賑やかに、いろいろなものが見えました。

黒部の山賊で語られれるさまざまな怪異談の中に、「おーい」とさけぶ化け物。夜中登山者のもとに現れる女の幽霊。聞こえない筈の声が聞こえる怪異。など
黒部の山賊で出てくる様々な怪異談ですが、登山をする方なら、もしかすると思い当たる事が多いのではないでしょうか?

ちなみに、藪に戻った自分ですが、数時間後、星空の瞬く沼尻スキー場の最上部のコースに、本当にいきなりポンッと出られたときの安堵といったら!
その夜の星空の美しさが今でも忘れられません。(^^)

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